【Sincerely yours,】 第1回 1993年7月4日25時〜26時 ---------------------------------------------------------------------- こんばんは、岡崎律子です。 皆さんお元気でしょうか? 今夜から始まったこの番組、「Sincerely yours,」では私のおじゃべりや 新旧の洋楽からジャパニーズポップスまで、色々と取り混ぜてたっぷり お送りしていきたいと思っています。 ところでこの番組のタイトル、「Sincerely yours,」は3月24日に リリースされています私のデビューアルバムのタイトルでもあります。 このアルバムはずっと自分の中で考えていた事とか、思いついたこと 恋の事や友達の事、自分について・・・など色々思ったあれこれを 自分の好きな音でそのまま、形にしました。 そういうふうにできたと思っています。 普段、フレンチポップスという女性ボーカルが好きでよく聴いていますので このアルバムにも少しそのヨーロッパのテイストが出ているかも知れません。 色々多くの皆さんに聴いていただきたいし、この番組でもどんどん紹介 していこうと思っています。 それでは、私のプロフィールを紹介する前にその中からまず1曲聴いて 下さい。私のデビューシングルです、岡崎律子で「悲しい自由」。 ◆◆「悲しい自由」◆◆(フルサイズ) 岡崎律子の「Sincerely yours,」。オープニングにまず私の曲「悲しい自由」 を聴いていただきましたが、今週はプロフィールをご紹介しながら私の アルバム、それから私の選んだ思い出?があったり、その頃好きだったという ような懐かしいナンバーをお送りしていきたいと思っています。 さて、私は1959年12月29日長崎県の端島というところで生まれました。 えっと、長崎県端島というのは通称が「軍艦島」というところで、これだと 聞いた事がある方がいるかも知れないですね。海の真中にホントに夜遠くから 見ると、軍艦に見えるような小さな島でそこに小学校3年、9歳の時まで いました。で、ですね、子供時代は今の大人イメージよりはずいぶん活発?な 子だったと思います。小学校などではあんまり「ハイ、ハイ」と手を上げたりは しない子供でしたけれど、うちの中だとか友達同士で遊んでいる時なんかは ワリとふざけた事を考えたり、隠れお茶目のようなとこがあったなと思います。 よく覚えて・・・母親などに言われて今でも覚えているのは、絵本をね、 スラスラこう、すごく小っちゃい時に読むって言うんですね?それは実は 字が読めて読んでいるんではなくて、聞いていた耳で覚えててね、だから本を 例えば逆さまに置いてそれでもスラスラ読んでたっていうような事? なんか読めないのに、調子良く読めるフリをしてたとか。ピアノの譜面も そういうとこがあったみたいで、ト音記号とヘ音記号の区別もずいぶん経つまで わかっていなかったようで、それも多分姉がやっていたピアノの先に進んで たのを聴いていて、勝手に弾いてたんですね。だからそういうなんかお調子者 なとこもあったみたいです。 自分の性格とか、自分ではなかなか一言では言い切れないですけど、多分 明るいと言い切ってしまうにはちょっと暗くて、じゃあ暗いかって言うと そんな事もなく、ワリと胸の内は明るかったり、ノンキだったりするかな?と 思う時もあります。まあ誰でも・・・ね?表に出ているその一面だけじゃない と思うんで、例えば私が歌を作ったり歌ったりする時にも一曲一曲が、 「これはこの私」「これはどの私かな?」という感じで作ったり、出来上がった 物を聴いてると「ああ、かえって私のこーいうトコが出てるんだな」とか 自分で思ったりする事があります。 それでは、私のデビューアルバム「Sincerely yours,」から2曲続けて 聴いて下さい。えーとまず、気持ちがくじけて朝行きたくないなと思っても でもなんとか頑張って明るく行こう、という前向きな私が出ていると 思います、「朝 -What's goin'on-」、そして好きな人への気持ちだけれども 迷いがちな自分が見え隠れしてる歌かな?と思います、「恋心」。 ◆◆「朝 -What's goin'on-」◆◆(フルサイズ) ◆◆「恋心」◆◆(フルサイズ) 岡崎律子の「Sincerely yours,」。オープニングウィークの今週は私の プロフィールをお話しています。さて皆さんも音楽っていいなとか初めて 好きになった曲とか、音楽との出会いのようなものがきっとね、あったと 思うんですが、えーと私は小学校くらいまではだいたいテレビでやっている 歌謡曲を聴いて、一緒に歌ったり振りを付けたりっていう感じだったと 思います。初めて自分の意思でね、自分で好きだなと思って自分の お小遣いで買ったアルバム、その頃はCDでなくてLPでしたけど それがオフコースの「ワインの匂い」というアルバムで、オフコースは その頃2人だったんですね。で、それからチューリップだとか ユーミンのものすごく初期の頃の音楽などを聴いて、「あ、この感じは 好きだな」と初めて積極的に思いました。多分だから今と違ってその頃 そう呼んでいたニューミュージックだとか、フォークロックという呼び名 があったんですが、それが・・・歌謡曲とは全然違うなっていう印象が ありましたね。で、今思うとコピーをしていたのかな?と思うのが 中学で音楽部に入って、クラリネットを練習するようになったんですが その練習の時に、楽器倉庫のようなトコで友達と2人でクラリネットの 練習はサボって、そこにあるピアノでオフコースだとかチューリップの曲を 歌ったりしてました。でもこれが楽しくって、その後高校時代に「エレナー」 というバンドを作るんですが、その始まりとかきっかけのようなもの だったと思います。で、高校に入って作った「エレナー」というバンドは 女性3人で、私はピアノとだいたいコーラスをしていたんですが 編成がピアノと、あと2人がギターで、そのギターがオベーション・・・ 高いんですね、これ。えとギターを持って内側、胸の側にくる方が こう「ぎゅわん」と湾曲していて素材がヘリコプターでしたっけ?何か とっても高い素材でできていて音がいいんですね。1人がそれで、もう一人が 12弦という高校生にしてはとても高価な楽器を持って、とても意欲的に 活動していました。えと、その「エレナー」というバンドは別にまだ 解散もしていないので、今も存在しているんですね。これは数えると 17年という恐ろしく長い歴史を誇るバンドです。今もあります。 それで発表の場を求める、という感じであの別に勝ち残りたいとかいうよりは 出る場所が欲しいという感じで、当時あったヤマハのポプコンだとか えとラジオでやっていたサウンズ・ウィズ・コークというコンテストが あって、だいたい予選は通るんですが最後まではいかなくて、ただまだ その頃はとても高校入りたてでとても若いバンドだったんですね、その頃ね。 女の子だって事で特別賞をいただいて、じゃあ帰りましょう・・・そういう 感じでしたね。でもとってもステージに出るのが楽しかったです。 このエレナーでは割と最初からオリジナルをやっていました。最初は曲を 作って自分の家でピアノ1本で、あの内蔵マイクのラジカセでとって こういうの作ったのよってほかの2人に見せるのが、ものすごく恥ずかしくて 勇気いる事だったのを覚えています。で、3人で曲を持ち寄って練習して 歌って、で・・・おぼろげにはやっぱり3人で、なれたらプロになりたいわね という意思はなんとなくあったですね。さて、まだまだ岡崎律子のプロフィール が続くんですが、ここで懐かしいナンバーを2曲聴いて下さい。 ビリー・ジョエル(Billy Joel)「素顔のままで」、そしてシンディ・ローパー (Cyndi Lauper)「TIME AFTER TIME」。 ◆◆「素顔のままで」◆◆ ◆◆「TIME AFTER TIME」◆◆ 今夜は私のプロフィールをご紹介しながら、自分のアルバム、そして私が選んだ 懐かしいナンバーをお送りしています。えと、さて、先ほどお話した「エレナー」 というバンドで、コンテストに出たり活動していた私、岡崎律子はやがて学生生活 が終わって一度、就職をしました。で、そこでやがて急に思いついた事があって 自分で作った曲をね、とってもこう・・・歌の上手な人だとか自分の好きな人が 歌ってくれたら、「これは素敵だな」そう思いついてそこで多分初めて作曲家に なりたいっていう意思を持ったんですね。んで、85年にCM音楽を始めたのを 手始めに、一応作曲家としての活動がスタートできました。この頃は自分で 一週間に一曲というノルマを決めて、バンバン、どんどん作ってましたね。 あのノルマで決めていたので、曲ができなくてもなんとか形にしてしまえと。 とにかく一週間に一曲と決めて、んで一番最初に鮎川麻弥さんのアルバムに 何曲か、それからあのポプコンに出ていた繋がりで伊藤敏博さん、それから もう少しあとですがBaBeという女の子二人組にも曲を書いたりできました。 えーと、自分で作曲する時に自分以外の人に書く場合と、自分用の曲を書く時 作る心構えは違いますか?とか質問をよくいただくんですが、他の方に書く時 はその人のため、大げさに言うとその人に捧げるという気持ちでやりたいなと 思っています。あの最後はその歌う本人にね、歌うご本人が一番うまく前に 出ればって思いますから、ともかくその本人のために捧げるとか、のり移って 書ければいいなと思っています。自分の曲を書く時は、ホントに地のまま に作りますね。曲も一番始めは思いつき、あの天から降ってきたとか言う方も いますけど、そんな大げさじゃなくても最初はポッと出てきた、そこから膨らませて 自分の曲の時はホントに好きなように作ってます。でも人に作るのも自分の ために書くのも、どっちも自分の中から出てくるものなのでそういう意味では 基本的には同じかなという気もしています。こういう風に作曲家として 活動を何年かしていて、結局私のデビューのきっかけとなったのが デビューシングルの「悲しい自由」という曲を・・・これもある歌手の方宛てに 最初書いたんですね。で、その頃自分で作った歌はスタジオ出かけて行って 仮歌を歌っていたんですが、この歌を歌った時にその場にいた人たちに すごく岡崎律子に合っている、っていう風に皆に誉めてもらって本人はすごく 意外でビックリだったんですけど、でもビックリした割にはすんなり 「あ、そうかな?」と思って、自分が歌うって事を決意していたという気がします。 キッカケはそんなでしたけど、今はこういう自分で作って自分で歌えるっていう 状況はすごく嬉しくて、あれもしたい、これもしたいという事がたくさんあるし 今までが全部ここへ繋がってきてたような気もして、すごく今は幸せだと 思っています。では、その私のデビューアルバムから「Girlfriend」、 そして「まっすぐな心で」。 ◆◆「Girlfriend」◆◆(フルサイズ) ◆◆「まっすぐな心で」◆◆(フルサイズ) 岡崎律子の「Sincerely yours,」。今夜は私のプロフィールをご紹介して きたわけですが、えと・・・デビューした頃に最初の方の取材とかインタビュー がいくつかありまして、その時に「趣味は何ですか?」という質問が・・・ 「音楽です。音楽が好きです。」と答えたら、「それは仕事でしょ?」って 言われてしまって、「え?じゃあ音楽が趣味ではいけないのか?」と その時思ってパニックになったんですが、やっぱり大好きな趣味であるし それからもう一つ今思っているのは、やっぱり音楽が自分を表せる一番の 方法だなと思ったんですね。歌詞・・・言葉もそうだし、メロディも自分の中 から出てきて好きなように作れて、だから今まで趣味として「ああ、音楽大好き」 と思っていたのに、もう一つ自分を表せる一番の方法だなというのが、 実感としてあってまた前よりもっと大事なものになったような気がします。 きっとこれから先もね、一生好きだろうし離れない、離れられないものだろうと 思います。デビューして、プロという事になって普段の生活なんかではまだ そんなに実感無いんですが、今感じているのは歌を作る時はとても個人的な ものだけれど、出来上がって人の前に出て行った時に一人歩きして、 聴いてくれるそれぞれの人のものになっていくな・・・というのが時々 すごく怖いような気もするし、そうやってそれぞれの人が「ああ、私もそう思った」 とか「そうよね」っていう風に思ってくださる事が、私にはとっても嬉しくって 励まされます。そう思うから余計にすごく正直に自分をちゃんとさらけ出す というか、ちゃんと正直にそういう前にいようっていう風にすごく強く思います。 だから一番最初に作ったアルバムもそうでしたし、これからもその時、その時に 感じた事とか思いつきを、こう・・・あまりこねくり回したりしないで、 まっすぐに出していけたらな、そうやっていかなくちゃなとすごく今思ってます。 さてあと2曲聴いていただこうと思うんですが、去年だったか一昨年だったか 日本に来た時にコンサートに行ったんですが、ジェーン・バーキン(Jane Birkin)。 コンサートもすごく素敵で、あのとっても耳障りが良くて一人の時とか 私が家で聴く音楽の一つなんですね。で、ルックスもすごく素敵で多分すごく 憧れ?のようなものを持ってるんだと思います。そのジェーン・バーキンの 「思い出のロックンローラー」、そしてこちらもフランスの人です。 フランソワ-ズ・アルディ(Francoise Hardy)、「さよならを教えて」。 二曲続けてどうぞ。 ◆◆「思い出のロックン・ローラー」◆◆ ◆◆「さよならを教えて」◆◆ 今夜から始まった岡崎律子の「Sincerely yours,」、いかがでしたか? えーと、曲を作ったり歌ったりするのとはもう、また全然違ってすごく難しかったし でも楽しかったし、ただとっても緊張していたので聴いて下さっている皆さんの 方にもその緊張まで伝えてしまったかも知れません。ちょっとごめんね。 えーと、皆さんは岡崎律子にどんなイメージを持って下さったでしょうか? 今夜の感想、岡崎律子に対する質問、なんでも結構です。お便りをお待ちしています。 宛先は、“郵便番号336 浦和市常盤4−16−2 NACK5 「Sincerely yours,」” です。素敵なプレゼントも用意していますので、是非書いて下さい。 来週は私の好きな物と題して、音楽や私のオフの過ごし方など色んなところから お話をしようと思っています。それではまた来週、「Sincerely yours,」 岡崎律子でした、おやすみなさい。 ---------------------------------------------------------------------- ------------------- 文書作成 takasy -------------------