岡崎律子通信
Sincerely yours, vol.1
1994 summer
 こんにちは。毎日、異常な高温でびっくりですね。こう暑いと、なかなか外へ出ようとは思いませんが、ふだんは歩くのが大好きです。  そもそもデビュー時のインタビューで、「趣味は散歩です」と答えていました。明確に「これ」と言えるものが見当たらなかったので、そういうことにしたのでしたが。  でも、気が沈んでいる時に、頑張って外へ出てみると、歩く→そのうち無心になる→何か、少しいい事を思いつく→なんとなく気が晴れてくる …ということは、確かにあるなあ、と思います。
 最近も、ひとり、歩いていて、ぽっ、とでてきた走り書きのようなもの、それは、これです。

ぬけだしたね

思うより きびしい
思うより 軽い
そんなことは いくらでも

よかった よかったね
ほんとうによかった

でも かなしい君も
すごく困って考えこんだ時の君も
私には 素敵だったよ


 私が歌や言葉にした内容を、自分であとから読み返してみると、一見、誰かに向けて言っている事が、実は、私自身が誰かから言われたがっている事なのかも、と気づくことがあって、時々、はっとします。
 作る時は正直にやろうと、いつも心がけていますが、別にそんな決意をしなくても、作品は、無意識のうちに、正直に胸の内を表わしてしまうのかも、と思います。
 あ、それにこれは、日常の、人と人との会話にもあてはまることかもしれない‥。
 その人の口から出た言葉は、まさに、その人の心。‥だと思うと、その心の声を見逃さないよう、あるいは勘ぐり過ぎないように、耳を傾けたいものだなあ、と改めて思ってしまいます。


 さて、私はいろんな歌を、わりあいすぐ、好きになりがちですが、今大好きなのは、オリジナル・ラブの「朝日のあたる道」、TAMTAMの「恋人じゃない」も、キュートです。それから、中森明菜の「片想い」という曲。
なんて素敵な歌だろう、とぐっときてしまいました。つい、私も歌ってみたいなあと思ったほどで、しみじみと聴いています。あなたも好きな歌をみつけて暑い日も、楽しく過ごして下さいね。
 これを手に取って下さってありがとう。では、また次の時まで! Ritsuko Okazaki









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